0-WORLD
頬に温かい感触。
俺の涙でないことは解った。
幼い少女の手が、撫でるように俺の頬に手を置いている。そして俺はそれに、戦慄することになる。


「ゼロ、真実を知りたいか」


少女は笑っていた。
慈愛に満ちた笑み。
さっきまでの小生意気なガキはどこへやら、俺がいま見ているのは、神の使い、天使だろうか。いや、俺は知らないものを見ている。それは、神だ。今まで一度たりとも触れたことのない宗教と、俺は対峙している。

何故俺の名を、
其処で思考はプツンと途切れてしまった。
ぼんやりする視界の中で、俺は太陽を見た。
四方へ拡がる輝き。
宗教が俺を見下ろしている。其処にはただの小生意気な少女の姿があった。

横たわった中で、草花の匂いを感じた。
落ちてくる葉の風も。
頬を打つ光も。
それは総て懐かしくて、俺は墜ちるように目を閉じた。此処が天国でも地獄でも、俺は此処から逃げれはしない。そう、真実だとしても、夢だとしてもだ。
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