アセトアルデヒドの悪戯(イタズラ)
「まあまあ、やめろって」

あんまり目立たずにそこにいた、如月(キサラギ)が割って入った。

目立たず、といっても、目立つ。

長い髪を後ろで一つに束ねていて、それだけでも目立つのに、その髪はグレーなのだ。


似合ってるけど。
・・・それにしても、正樹、バイト、顔で採ってるな。


如月は線の細い美形タイプ。

物腰がやわらかで、静かに、ヒトの話を聴いてくれそうな、そんな感じ。

「白亜は今、研修中だ。邪魔するな」

優しいその声で、きっぱり言うと、白亜のそばから、斉藤を引き剥がしてくれた。

白亜はほっとした。
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