文系男子。
「此処で寺田のわんわんと仲良く追いかけっこやるか、俺と来て松葉のツラ拝むか」

どちらも嫌だ。

…大体、

「…寺田って、何?」

「作家先生も知ってるだろ?寺田ホテル」

「ああ…………え?」

泊まったことは無いが、何度も通りかかった事がある。
この辺で多分1番大きなホテルだ。

「ああ言うの、裏で同業者が繋がってんの。…寺田組は聞いたことある?」

「ニュースで、何回か…」

未成年者を風俗店で働かせた、とか、
不良共を雇って鉄砲玉に使ってる、とか。
マフィアがなんたら、とか。

でも、まさか、ねえ。

こんな住みなれた町にそんな凶悪な暴力団の本拠地があるなんて、誰が思うか。

と言うか、

「何で、俺が狙われなきゃいけないの、って顔だな」

当たり前だ。

「そのー…すごく身勝手で悪いんだが、この前駅前で色々あったろ?」
「あんたらがあいつに余計なことするからだろ」
「んで、そこをわんわんたちに見られてあいつ幹部と関係者だから捕まえれば岡田潰れるんじゃね?じゃあ捕まえようってな単純明快な思考回路でーーーー」
「ちょっと待て!それ俺と真朱は関係ないよな!?」
「だから匿いに来てやったんだろうが!」
「ふざけんな!そしたら余計にまどろっこしい事にーーーー」
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