文系男子。


聞きなれた電子音。


眉間にシワを寄せ、言い争いをしていた俺らはピタリと活動を停止した。


「竹之内さーん?」


「…鍵は?」


「開けた後ちゃんとかけたよ」


そろりとドアの前に立って、レンズを覗く。
人相の悪いーーーーまだ俺らと年が変わらない様な男が二人、立っていた。

後ろで、坂本が囁いた。

「ヤンキーだろ?」

十分、お前もヤンキーなんだけど。

そんな事を言おうとしたが、俺の名前を呼ぶ口調が段々荒くなっていった。


「なあ!いるんだろうが!竹之内さんよお!」


ドアを叩く音が強くなって、頭が痛くなりそうだ。
ようやく自分の身が危険に晒されている事に気づいて、少し血の気が失せる。
大のオトナが情けない。


そして振り向くと、目の前に立つ赤頭がニヤリと笑った。




「…さて、どうする?」




こいつら、話し合いで平和的に物事を進める、なんて脳味噌は生憎持ち合わせてないらしい。
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