文系男子。
[坂本]

バキバキとパイプを支える留め金が折れて行く。
途中で止まんじゃ無いかとヒヤリとしたが、大人2人分の体重に呆気なく金具は折れた。

せめてものブレーキ代わりで両足を壁につけているが何か足の裏から焦げた様な匂いするんだけど。

声も上げずに目を瞑り歯を食い縛っている先生に悪い事したなあ、などと思っていると、

「うげっ」

二階の辺りでがくんと止まってしまった。

「…どーすんだ」

下を見た先生が低く呟いた。
俺はそっと縄を外すと、ベランダの柵に手を伸ばした。
勢いをつけて、ベランダの中に入る。

「…此処から飛び降りたら死ぬかな」
「足が折れるぐらいだろ」
「そしたら逃げられないだろうが」
「しゃーねーな」
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