文系男子。
[竹之内]

ヘラッとまた笑う坂本は窓の前に立つと、サッシをガタガタを揺らした。
中に人がいたらどうするんだーーー

「開かねえ…」

そりゃあそうだろう。

「先生俺より背高いだろ?」

「ああ…」

んじゃ、下のベランダ降りて。

落ちたって死にゃしない。

その声に従って、ゆっくりと下に降りた。
坂本はそれをみると、軽々と二階から飛び降りた。

「猿みたいだな…」
「伊達にこの年で幹部やってる訳じゃないからな」

歯を見せて笑う。

この年で、って事はそれより前からそっち側に足を突っ込んでるって訳でーーーー

「なに?」

百面相してんの。

「いや…色々…」
「先生は色々が多いな」

苦笑を見せた坂本が、急に無表情になって、辺りを見渡す。

「まあ、まずは安全なトコ……」

「いたぞ!」

鋭い声がして、俺が身を竦ませると、坂本は俺の手首を掴んで走り出した。
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