文系男子。
「インタビューは?」
少しだけ眼を逸らして聞く。
こいつの本当の理由はそれの筈だ。
「…帰る」
「あ、そう」
「………」
「のおち ことみが男だった、なんて書かない方が良いよ」
誰も信じやしないから。
むしろそれが原因で問題起こされると困るし。
ポンポンと真朱を傷つける言葉が口から出て行く。
嗚呼、折角理解してくれそうな人間を見つけたのに。
真朱は一度だけ此方を睨みつけ、バッグを荒々しく引っ掴むと、足音を響かせながら、部屋を出て行く。
「原稿中の所、本ッ当にお邪魔しました!!」
入り口で怒鳴り声が聞こえたかと思うと、思ったより後に、ドアの閉まる音がした。