文系男子。
「何で開いたんですか?」

エレベーターを待ちながら、男に尋ねる。
男はあたしに視線を向けると、先ずは自己紹介しない?と言った。

「名前も知らない人と喋るのもなんかやでしょ」

「あ、ええ、真朱です」

「へえ、珍しいねえ…俺は松葉っての」

松葉と名乗った男は棒付きの飴を取り出すと、咥えた。

「真朱さんは、オートロックって何のためにあると思う?」

「え…外部者を勝手に中に入れない様にする、ため?」

「そうだねえ…じゃあ、もし真朱さんが、このマンションに住んでて、外に出る時、どうやって出る?」

「え…普通に……ーーーーあ、」

そこまで言って気づいた。

外に出る時、にオートロックを使う必要は無いのだ。
ドアの前に立てば、自動ドアが反応してくれる。

「体重で反応するのとかだと失敗するんだけど…センサーで反応してくれるやつで良かったよ」

肩を竦め、松葉は苦笑する。

エレベーターに乗り、7階を押した。

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