【花集】君と見た、大きな光
「え…?」
彼女の瞳が揺れた。
「色覚異常、だっけ?それって花火きちんと見える?」
直後、目が細められる。
「どういう意味なの?何?」
饒舌に話す橘さん。声に冷たさを帯びる。
まずった、完全に墓穴掘った。
「え、あ、花火見えにくいんじゃないかって…」
しどろもどろ。
「だから?見にくいのに来たことを同情?何よ、そんな可哀相なの?」
「い、いや…そんなこと思ってな…」
冷ややかに、淡々と、鋭く。
「……見えるわよ。色がわからないだけで。余計なお世話よ…」
言い終わらないうちに彼女は立てた膝に顔を埋めた。
丸まった背中が寂しく見えて。
あぁ、俺の好奇心は彼女を痛めつけた。
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