籠の鳥
ふと、いつか言ったマオの言葉が蘇った。


"例えどんなに大きく、何でも切り裂く剣でも、ざっくんの大切な人を守れる保証はないんだよ"

俺は小さく舌打ちした。


そんなこと分かってる。

だけど、あの合わない剣が、俺の償いなんだ。

あれで自信過剰になれる。

そうなれば、俺は少しでも楽になれるんだ…。

"あの頃はただ、小さくてか弱くて大切な人形も守れない子供だったんだ"って。


俺は何もかも嫌になって、前髪をぐしゃぐしゃにしながら先を歩いていくやつはと反対方向に歩き出した。



ただ俺は、何もかも守れればそれでいいんだ。
< 104 / 193 >

この作品をシェア

pagetop