籠の鳥

真実

『弱っちぃざくや、お前は妖怪に喰われるんだよっ』

『そうさ!誰にも助けてもらえない、弱いからな!!』

3人のいじめっ子に同じくらいの年の男の子が棒でつつかれていた。

ただ丸くなって時を過ごす。

そんなことが当たり前だった。



だけどそんな時間を止めてくれたのが君だった。

『またざくやを苛めて!今度は許さないわよ!?』

『げっ!あくらだ!!』

『やべっ!また大人を呼ぶぞ!?逃げろ!!』

慌てふためいていじめっ子達は走って行った。

だが振り向き座間に叫ぶ。

『『『妹に助けてもらうほど弱いざくやぁ!!!』』』

『うるさい!クズ共ー!!』

言い返してあくらは小さくなる男の子の隣に膝をついた。

『大丈夫?お兄ちゃん…怪我、手当てしよう?』

その言葉に犯行することなく立ち上がって手を引かれて行った。



家に戻り、座り込んだ男の子の頬の傷に薬をつけた。

男の子は少し声を漏らして眉をひそめる。
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