籠の鳥
まだらを追いかけて村まで来た。

そこはもう酷い有り様だった。

家屋はほとんどが崩れ、その代わりにあちこちには奇妙な生き物が羽を羽ばたかせている。


妖怪だ…。


悪魔のようなナリをした妖怪が村の破壊活動を進めていた。


まだらを早く連れ戻さないと…!


俺はスピードをあげ、まだらに追いついた。

腕を引っ張って、自分に引き寄せる。

まだらは抵抗したが俺が強く抱き締めて離れられなかった。

「まだら!まだら!しっかりするんだ!!」

混乱状態になっているまだらを強く怒鳴った。

俺の声を聞いて、まだらは涙目で俺を見上げる。

「ざく、や…?」

「ここは危険だ。早く安全な場所へ…「おぉ…愚かな人間がまだいたぞ」」
その声を聞いて俺はまだらを自分の後ろに庇った。

大きな剣を抜いてその声の主に向ける。

妖怪は白い目を俺達に近づけた。

「やっと見つけたよ小僧。姫がお待ちさ、早く行こう?」

「はぁ?何の話だ?」

「お前に話してはいない。その後ろの小僧だ」

そう言って妖怪は俺の後ろで震えるまだらを指差した。

余計に俺はまだらを隠す。

それに気が立って妖怪は一声の遠吠えをした。

「よくもまぁ人間の分際でそんなことを…まぁいい。小僧だけ無事に手に入れば姫も喜ぶ」
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