籠の鳥

憎悪

「ざくや…なんか嫌な感じがする……」

さやが隣を走っていて呟いた。

俺だってそんなこと分かってる。

言葉には出さないけど嫌な予感だけしかしないのだ。



そしてその予感は的中する。

「…!!」

「あれって……」

目の先に人の姿があるが、動く気配がない。

その刺さっている槍で誰だかすぐに分かった。

「やつは!!!!」

ぐったりとした身体にはもう温もりがなかった。

ただ強く目を閉じたまま起きようとはしない。

「なんで…自分の槍で……?」

そう呟く俺の後ろでさやが言った。

「この人形、かすかに妖気が残ってる。それにこれ…」

言葉を詰まらせるさやに、俺も人形を見た。

「……!?」

「…」

人形はボロボロなまま、絶えず目から涙を流していた。

俺も言葉を失うが、さやは口を開いた。
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