籠の鳥
「強い人間の残留思念が残ってる、幼い子の」

「…やつはの子?だがそんなの…」

「できなくはない。妖怪は一番あの世に近い生き物だ。つまり、まだらも何されてもおかしくないぞ」

その結論に達した時、俺とさやは頷き合った。



槍を抜き、やつはを地面におろした。

そして泣いている人形を隣に、手が重なるように置く。

「行くぞ、さや」

走り出した俺に無言でついてきた。



人形の涙が枯れる時間は、そうそう長くはない。







俺達がいなくなったあとに、マオは眼鏡を投げ捨てた。



フウも自分の右手を口で破く。

中から鋭い爪がついた手が出てきた。

しかしそれをマオは手で制す。

「君の手を汚すほどではない。黙って見ていなさい」

「しかし猫様…「黙って見てなさい」…かしこまりました」

渋々そう答えてフウは一歩下がった。
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