籠の鳥

愛哀

抱擁しあってる俺達を見て、女はついに言葉を発した。



「まだら……母はここだ。まだ目も明かぬ赤子ではなかろう?」

優しい声だったが、どこかトゲトゲしいものがあった。



まだらは涙を拭いて、女を見た。

優しい微笑みを零している。

立ち上がろうとするまだらを、俺は慌てて止めた。



焦った俺を見てまだらが笑う。

「大丈夫です」

それだけ残して俺の手を放した。



両手を広げる女の胸にそっと顔をうずめた。

それを優しく包み込む。

「よい子だ…まだらは母が好きか?」

俺は固唾を呑んで見守った。

まだらはさらに強く抱き付いて答える。

「大好きだよ」

満足そうに微笑む。

俺は腑に落ちない様に目をそらした。
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