籠の鳥
「大好きだよ。大好きだけど、母さんは僕のこと憎くないの?」

「何故だ?私はまだらが大好きだ」

「母さんの嫌いだった父さんの子なのに?」

「!」

さっきまでの笑いが消えた女に、顔を伏せてまだらは待った。

「…そんなことはないぞ。私はまだらに何があっても好きだ」

それを聞いてまだらは安堵の笑みを浮かべた。

「それはよかった……」

そのやりとりがよく分からず、女はまだらの頭を撫でた。

「どうしたのだ、まだら。心配などして」

「ううん、いいんだ。…僕の話、聞いてくれる?」

顔を上げてまだらは訪ねた。

優しく微笑みながら頷く。



俺は剣を拾って聞いていた。

「僕、母さんが大好きだよ。だけどね、母さんと離れている間にもう1つ大好きなものができたんだ」

「………」

「旅だよ。とても楽しかった。皆とね、沢山のことをしたんだ。最高の思い出だよ」

「……そうか、よかったな」

それを聞いてまだらは女から離れた。

面と面が向かう形に移動する。
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