籠の鳥
「…まーくん、起きたのかい?」

優しい笑顔を向けてマヤは近付いてきた。



するとそれに敏感に反応してさやが飛び起きた。

そしてマオが部屋に入ってくる代わりにさやがもの凄いスピードで出て行った。

「あらら、さっちゃんいつの間にここに入り込んでたんだ?」

マオは振り返りながら言った。

「あ、そーなんだよ、まーくんに訊きたいことがあったんだ」

そう言って僕の左手を掴んだ。

そして自分の手の上に僕の手を広げる。

「この中指、どうしたの?」

僕の左手中指の爪は、紫色に変色していた。

それをマオは疑問に思ったらしい。

「小さい頃からできてるんです。理由は分かりません」

「それじゃ、お腹にあるものもそうかい?」

そう言われ、僕は自分から服を捲った。

紫色に変色した大きな痣。

それを見ながら僕は頷いた。

「そうか…実はね、調べてみたらどうやらそれも妖怪の血のせいみたいだよ。妖怪の一部ってことさ」

予想通りの結果に、僕は静かに息をついた。
< 37 / 193 >

この作品をシェア

pagetop