籠の鳥

黒狼

「黒狼,あいつは妖怪の出来損ないだ」

「人間の姿に化けるにも制限時間があるとはな」

「あいつは邪魔だ」

そう陰で言われていることは分かってた。



そしていつかこんな日がくることも、分かってた。

「悪龍?欲犬!悲猫!!…。何処に………」

気付けば皆、さやから離れていった。

いつもその繰り返し。

必死に仲間についていっても、一晩越せばまた独り。


…いや‥むしろ仲間なんて思われてなかったのかもしれない…。


数日森をさ迷ってから、



自殺をした。



死ねなかった。

妖魂が1つ減った。


痛い思いして死んだのに…なんでまた生き返るんだよ‥。

いらない…こんな命、いらない‥。


それでも助けを求めて人里まで下りてきてしまった。



瀕死のさやを拾ってくれたのは、優しい中年の夫婦。

そしてその独り息子は怯えるさやにいつも付き添ってくれた。
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