籠の鳥
「僕、なんか手伝っ…「結構です。休んでいて下さい」…はい‥」

無表情でそう言うが、朝食を作る手は止めなかった。

それが怖くて僕は素直に引く。



後ずさりをしてその場に立ち尽くしていた。


そういえば今日のフウ、いつもと違う??

何か、結構しっかりした生地の服を着てる…。

どこか行くのかな?


ドンッ

「あ、ちょっとごめんよ」

「すみません…っ」

引き出しの前に立っていた僕は知らない男の人にぶつかって、謝ってからどいた。


ん?

知らない、男????


僕はバッと顔を上げた。
長い上着を着て黒い靴を履き、緩く着物を着ていて、癖のある髪が肩より少し上まで延びている。

引き出しを開けて何かを探している男は少し美形に見える。

後ろの引き出し類にぶつかって手をついた。


は??は?????


記憶を駆け巡るがこんな人は片隅にもいなかった。



するとそんな僕に男が気付き、引き出しから物を出して横目で見た。
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