籠の鳥
そして振り返ってフウに言った。

「フウ、剣を返してもらえるか?もう大丈夫だから」

しかしフウは更に剣を強く抱き締める。

「駄目です」

「何故?」

「猫様がそれを望んでいないからです」

そう言われ、俺はマオを見た。

マオは不適に笑みを浮かべているだけ。

「……返せよ」

「それは虎猫に言ったらどう?」

「お前の意志だって言っただろうが。」

しばらく睨みあった後、マオはクククッと笑った。

俺は不愉快になる。

「さあ…君は剣がないとどれだけ困惑するんだろうね?」

それからまた笑い、俺を真っ直ぐに見た。

「いいかい?ざっくん、例えどんなに大きく、何でも切り裂く剣でも、ざっくんの大切な人を守れる保証はないんだよ」

「でも、剣がなきゃ始まらないだろ」

「いや、始まるよ…ざーっくん」

あざ笑うようにマオは俺を睨む。

俺も奴を睨んだ
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