籠の鳥
「あはははっ」

やつはは突然笑った。

皆がやつはに目を向ける。

「いや悪い悪いっ。面白い奴らだと思っただけだ。気にするな」

そしてゆっくりお茶を飲んだ。



話が区切れたところでマオはやつはに訊いた。

「やっくんは、何故妖怪退治を?そんなに女が好きなら、そういう生活をしていればいいじゃないか」

それを聞いてやつはから笑顔が消えたが、フッとまた笑みを零した。

「金がたんまりだろ?この仕事は」

俺はやつはの言葉に怒りを覚えた。

「あんたそんな理由…「あ、分かるぅ♪たんまりだよね、これ」」

立ち上がろうとした俺を遮って、マオは親指と人差し指で輪を作りながら言った。

「色んな奴がなんとしてもって頼んでくるしな。いくらでも巻き上げられる。それに俺も便利な身体になった」

皆が解らない顔をした。

やつはは「違う」と誤解を解く。

「…妖怪を殺したくてしょうがないんだよ。妖怪は昔、俺の大切な人達を奪った」
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