貴公子と偽りの恋
「はい?」

と返事して香山君を見ると、何だか真剣な顔をしていてビクッとした。

嫌な予感がする…

「目は大丈夫なのか?」

「目?」

「ああ。コンタクトに慣れないんだろ? 遼から聞いたよ」

「じつはそうなの。なんかゴロゴロするし、ちょっと痛いような…」

「止めちゃえよ」

「え?」

「前の眼鏡に戻せばいいんじゃないか?」

「………」

香山君の言う意味がよく分からなかった。

「髪の毛も、また伸ばせば? 本当は伸ばしたいんだろ?」

「あの…、どういう事?」

「俺が優子に出した条件は、取り下げる事にした。もう、終わりにしよう?」

私は、頭の中で積み上げていた積み木が、ガラガラと音を立てて崩れて行くのを見ているようだった。
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