貴公子と偽りの恋
「そうなんだ…」

私のと、おかずのトレードはなしなわけね。

「なんでがっかりしてんだよ?」

「し、してないよ。じゃあ、お魚も平気なの?」

「ああ、平気だよ。でも、弁当は肉系の方が有り難いかな。魚は生臭くなるだろ? どうしてもじゃないけど」

「うん、分かった」



『ごちそうさまでした』

二人で同時に言って、私は手を合わせて軽くお辞儀をした。

「美味かったよ、ほんとに」

「そう? 良かった。量は? 足りた?」

「ああ、腹いっぱいだよ」

そう言って、香山君はペットボトルのお茶をゴクゴクと飲んだ。
私も、もらったお茶を小さいお口で少しだけ飲んだ。

二人分のお弁当箱をまたバンダナで包み、手提げ袋にしまった所で、香山君が話し掛けて来た。

「なあ、優子…」
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