貴公子と偽りの恋
「もう、恵子まで…。からかわないでよ」

「いや、ほんとだって。普段のメガネちゃんの優子も十分可愛いし、私は好きだけど、眼鏡外して髪の毛を縛るのやめると、いっそう可愛くなるよ。更に化粧したら、どこまで可愛くなるか、想像もできないわ…」

「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ。眼鏡掛けてもいい?」

「あ、うん。お世辞なんかじゃないよ。とにかく、優子は勇気を出すべきだと思うよ」

眼鏡を掛け、後ろ手で髪をまとめてシュシュでとめた。

「勇気を出すって、告れって事?」

「そうよ」

「どうせダメに決まってる」

「私はそうでもないと思うけど、仮にそうだとしても駄目元じゃない?」
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