貴公子と偽りの恋
制服に着替えて、姿見で何度もチェックした。

おかしな所はないよね…


「お母さん、変な所ない?」

私はお母さんにそう言って、クルッと体を回した。

「大丈夫よ。今日の優子もとっても可愛いわよ」

「やだあ、お母さんったら…」

「頑張りなさいね」

「え? 何を?」

「知らないけど、そうねえ、男の子に告白、とか?」

「ち、違う!」

「違うの? ま、いいから、早く行きなさい。遅くなっちゃうわよ」

「うん。行って来まーす」

お母さんは『行ってらっしゃい』と言いながら、笑顔で手をヒラヒラさせた。


ふー。
お母さんって、妙に感が鋭いんだよね…
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