貴公子と偽りの恋
翌朝、いつもより30分早くセットした携帯のアラームで、私は目を覚ました。

もう朝かあ。いよいよ、なのよね…


階段を降りて行くと、朝ご飯の臭いがした。

「お母さん、おはよう」

「おはよう。今朝はやけに早いわね?」

「うん。今日はいつもより30分早く出ようと思って…」

「え? どうして昨日の内に言わないの? お弁当、間に合わないわよ」

「購買でパン買うからいい」

「そう? 朝ご飯も間に合うかどうか…」

「いいよ、食べずに行く」

「それはダメよ。『腹が減っては戦は出来ぬ』よ」

「何、それ」

「パンだけでも食べて行きなさい」

「はーい」
< 21 / 169 >

この作品をシェア

pagetop