年上の彼氏
3人でソファーに座る。
ライ君の向かい合わせに秋仁さん。その隣に私。
「・・・いろいろさ、俺なりに考えたんだ」
口を開いたのはライ君。
「で、聞いておきたいことがある」
ライ君は秋仁さんを見る。
「夏穂が妊娠してたことも、中絶したことも分かった。俺は何も知らずに過ごしてきたことを恥ずかしいと思うよ」
「雷太」
「だけど、それよりも・・・・秋仁、何で知ってて言ってくれなかった?」
「それは・・・」
「俺とお前は友達じゃなかったのか?」
「・・・夏穂に止められたんだよ」
「・・・あ?」
「俺が夏穂の妊娠を知ったのは本当に偶然だったんだ。知り合いの家の帰りにたまたま夏穂を見かけて声を掛けた。・・・そこが産婦人科の前だったから、何気なく聞いたら「出来ちゃってた」って」
「で?」
「雷太に言えって何度も言ったよ。親にも言えって・・・だけどその頃のお前は受験が大変で、夏穂の小さな変化にも気が付いてやれないほど一杯一杯だったろ・・・」
「だから、言わなかったのか?」
ライ君の声が怒ってる。
「俺だって何度も言おうと思ったよ・・・だけど夏穂の気持ちを考えると言えなかったんだ」
秋仁さんは自分の手を組んで握り締める。
「俺の気持ちは無視かよ・・」
「そんな言い方するなよ」
その時、ちょっとだけライ君の顔つきが変わった。
「・・・中絶するとき名前を貸したんだって?・・・金も貸したのか?もしそうなら今返すよ。本当は俺が払わなくちゃいけない金だったんだからな」
秋仁さんは、その言葉に驚いたようにライ君を見つめる。
「・・・名前を貸したって・・・誰から聞いたんだ?」
ライ君はゆっくり私を見る。
・・・え?
秋仁さんも、私を見る。
初めは驚いたように、その後は悲しそうな顔に変わった。
「・・柊子?」
「え?」
「そうなのか?」
何?なに?
何のことか分からない。
「雷太に言ったのか?」
「え!?・・・ちが・・違う。言ってない」
私は慌てて首をふる。
ライ君をみると
「約束破ってごめん」
と、意味不明なことを・・・。