雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
そっと、薬指に小さな指輪がはめられる。


「響……どうしたの、これ」


細いプラチナの、シンプルなリング。


「おまえが何でもいいって言うから、これにしたんだよ。付き合い始めの頃、誕生日に買ってやるって言ったの、忘れたのか?」


「……覚えてるよ」


でも、そんなことは期待していなかった。

合鍵でさえくれないのだから、指輪だって同じだと諦めていた。

今さらこんな物をもらうなんて、よけいな期待を――してしまう。

もしかしたら女の影は気のせいで、本当は愛されているのかもしれないと……。


「気に入らなかったか?」


響の表情が陰ったので、私は慌てて笑顔を作る。


「そんなことない、すごく気に入ったよ。サイズもちょうどいいし」

「じゃあ、大事にしろよ? 無くしたら許さないからな」

「……うん、大切にする」


私は笑顔を作ったまま指輪を眺めた。

こんな期待……させないで欲しかった。

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