雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
地下鉄で響の家に戻る最中、彼は珍しく手を繋いでくれた。
大きな手のひらが温かくて落ち着く。
こうして歩いていると、何一つ悩みのない恋人同士のよう。
リビングに入るとすぐに、響は私を後ろから抱きしめてきた。
床に置かれたランプの明かりだけが二人を照らす。
「愛してる……」
耳元で低く囁かれる言葉。
――本当に?
思わず聞き返しそうになるのを、唇を噛んでこらえる。
私は『愛してる』と返すかわりに、後ろを振り返って彼の背中に腕を回した。
青いシャツから香水の匂いが仄かに香り、目を閉じる。
響は私を抱き上げソファに座った。
膝の上に乗せられ、彼の熱い唇が私の唇を奪い、やや強引に舌が入り込んでくる。
襟元のボタンに指がかかり、一つ二つと外されていく――。
そのときだった。
突然、玄関のインターホンが鳴り響いた。
大きな音に、私たちは顔を離す。