雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
「私……やっぱり彼女じゃなかったみたい」
さっき天音に気持ちを整理してもらったせいか、涙は浮かんでこなかった。
本当ならもっと、怒って本音をぶちまけてもいいくらいなのに。
遼の近づく気配がし、顔を上げる。
彼は両手で私の右手を取り、プラチナのリングがはめられた薬指を掴んだ。
「これ……彼氏にもらったの?」
「そうだよ。誕生日プレゼントとしてもらったの。でも、もう意味はないけど」
遼の冷たい指が、私の薬指の付け根から指先へ、ゆっくりとすべる。
その感触に……ゾクゾクしてしまう。
遼……酔ってるの?
どことなく目つきがいつもと違う。
穏やかな雰囲気が薄れ、代わりに妖しい色気が滲んでいた。
「紗矢花が彼女じゃないって、本当かな……」
遼は私の手を持ち上げたまま、じっと指輪を見つめている。
「だって、どう考えたってあっちが本命でしょ?」
私がそう言うと、遼はすっと手を離し向こう側のソファに戻った。
「それはどうかわからないけど。でも、他にも同じような人がいることははっきりしたね」
「そう……やっと、証拠が見つかったから。今度こそ諦めがつきそうな気がする」
私は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。