愛ガ降る



あたしの視線の先には“大概陸”がいた。



「あっ…、
…もしかして、この席の女の子?」



視線の先の“大概陸”があたしを見てそう言った。



あたしに向かって…話してる…?



あたしは自分の席に座っている“大概陸”の姿に驚き、まるで声を失ったかのように言葉が出てこなかった。



「ごめん。つい、話し込んじゃってて、俺、大概 陸って言うんだ。この時間、この席借りるね。」



思いがけない出来事に拍子抜けしているあたしにもかまわず、目の前の彼はニコリと笑い話し続けた。



「…えっ…と。
…名前は?」



彼の問いかけに、あたしはやっとハッとした。



< 12 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop