さよなら異邦人
慌ててスイッチを切る僕。

心臓がメッチャ、ばくばくし始めた。

「慌てもん」

里佳子がくすくす笑いながら言った。

「アタシ、お風呂入る」

「あ、ああ」

「覗いたら、殺す」

「さっき言ったろ、心配すんなって」

「少しは心配してやってもいいぞ」

「はあ?どういう意味だ?」

「何でも無い。アタシがお風呂に入ってる間なら、さっきのエッチなビデオ、観れるぞ。遠慮すんな」

「あんなもん観ねえよ」

「滅多に無いチャンスなのに」

「あのなぁ」

ソファからすくっと立ち上がった里佳子は、いつもの里佳子に戻り、颯爽と浴室へ消えた。

やっぱ、あいつはああじゃなくちゃ。要らぬ気を遣ってしまうぜ。

僕はそのままベッドへゴロリと寝転んだ。

緊張して、お淑やかになったあいつも悪くはなかったな……

そんな事を考えているうちに、少し眠くなってしまった……


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