さよなら異邦人
 TURUKOさんからの書き込みが来なくなった。


 一時期、頻繁に書き込みがあって、随分とそれに励まされたものだった。


 寂しくないと言ったら嘘になる。滅多に書き込みをされない私だったから、TURUKOさんのような存在は、本当にありがたかった。


 文中の感想は、時に鋭い指摘となったり、時に目からウロコといった新たな発見も貰える。


 読み専のTURUKOさんは、名前だけの登録だから、こちらから書き込みに行こうにも、それが叶わない。


『さよなら異邦人』は、後僅かでラストだ。


 きっと、完結したら又書き込みに来てくれるだろうと、私はそう期待していた。


 子供達の方は、その後もああじゃない、こうじゃないと感想を言ってくれる。


 この小説を書くまでは、こういった事は一度も無かった。


 そういう意味に於いては、この作品を書けて良かったと思っている。


 意外だったのは、娘の里佳子よりも、息子の龍之介の方が熱心な読者になってくれた事だ。


 照れ臭いのか、直接感想を言ってくれるのは、三回に一回の割合で、大概唐突にメールを寄越す。


「こいつの心境、俺、判るかも」


 と言ってくれた時は、素直に嬉しいと思った。


 来年は、お前もサンジュウゴと同じ歳になるんだな……


 私が、あの夏を過ごした歳とも……


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