no drug no future
癒真くんはそんな現実から逃れるようにベースに触らなくなった。

前までは『練習しなよ〜!』『曲作りがんばりなよ!!』と私は背中を押していた。

ときには厳しく『本気でバンドする気あんの?!』なんて怒ったりもした。

それが癒真くんの為でもあるから・・・

だけど今は言えない。

癒真くんを観ていると痛々しくて・・・

私がしてあげられること・・・

それは傷が自然完治するのをただ黙ってみていることだけ。

それしかできなかった。

それが大きな間違いだったんだ・・・。


癒真くんは前にも増して薬を欲した。

私も癒真くんの傷が少しでも癒えるならと一緒になって羽目を外した。

玉を覚えLを覚え次はなんだろう・・・

私たちはレイブという新しい遊び場でもっともっと深く暗い世界に没頭することになる。

ぐちゃぐちゃだった夏が終わろうとしていた。


でも私たちの欲望だけの行動はこれからが本当の始まりだった。

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