好きとは言えなくて…


さてと。惜しく(?)も斉藤君と別れたんだけど、これからどうしようかな。


一人でこれからどうするか悩んでいると私を呼ぶ声がした。


「由衣ー。あんた、斉藤君と別れたんだってー?」


やっぱりこの声は菜美だよね。


ため息を一つ吐きながら菜美の方へ向かった。


それにしてもお昼に斉藤君と別れたのになんで既に菜美は知っているのだろうか。


「教室に誰もいないからまだいいけど、そんなことを大きな声で叫ばないでくれる?」



今は授業が終わり夕暮れに近付いていて教室には誰もいない。その証拠に外からは野球部の人達の声が聞こえていた。



そんな時に一人で悩んでる私もどうかと思うけどね。


「誰もいなかったんだから気にしない気にしない。
由衣子さんは斉藤君にフラれて傷心中ですか?」


菜美は白々しく私に尋ねてくる。


「確かに斉藤君にはフラれたけど、傷心中なのは私じゃなくて斉藤君の方だよ。
慰めるなら斉藤君を慰めてあげて」



私がいつまでも傷ついていては斉藤君に失礼だ。
だって斉藤君は私の後押しをしてくれたのだから。



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