好きとは言えなくて…
一瞬静かになったと思ったら菜美が急に核心を攻めてきた。


「由衣が告白されて断るなんて珍しいね」


「うん? まぁ確かにいつもなら断らないね」


告白されたのは今日初めてじゃなかった。


もし初めてならあんな余裕な対応出来ないしね。


「だから珍しいなって思って見てたんだけど」


「やっぱり見てたんだ」


なんとなく見てるような気はしてたけどね。


「うん。ごめんね。つい出来心で」


菜美は両手を合わせて謝る。


「まぁいいけどね。
あのさ。なんで私なんだろうっていつも思う」


私はぽつりと菜美だけに聞こえる声で呟いた。



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