僕は君の罪になりたい
何が起こったのか分からないでいると


誰かに腕を掴まれて立たされた。




「…な…成宮くん…?」




どうやら私を羽交い締めにしていた生徒は、成宮くんに蹴飛ばされたらしい。



少し遠くでうずくまっている。





「みーちゃんさ、正義感強いのはいいけど女だって事は忘れない方がいいと思うよ」


「…へ?」


「ガキはガキでも、アンタじゃ力では高校生に勝てないよ」




そう言って他校の生徒と喧嘩を始めた成宮くんは、あっという間に1人で5、6人はいた他校の生徒を倒してしまった。



この子、喧嘩も強いの!?





「俺がいる内はこの高校に来ない方がいいよ?何人相手でも負ける気しないからね」


「くそっ…覚えてろよ!!」



ブォンブォンとマフラーをふかしたバイクに乗り、他校の生徒達は去って行った。





「あはは。明日になったら忘れるっつーの。女の子との約束なら別だけど」




成宮くんはググっと背筋を伸ばすと、パキパキ首を鳴らした。





「…ありがとう、助けてくれて」


「別に。たまたま見掛けただけだし」


「それでも私は助かったわ」




あのまま成宮くんが来なかったら


私、どうなっていたんだろう…。






「私…こんなんじゃ生徒を守ってあげられないわね」


「いいんじゃない?見過ごしたり逃げたりしなかったんだから。普通の先公なら見て見ぬフリするよ、絶対」



……あれ。



もしかして慰めてくれてる?





「みーちゃんのそういう所、俺は嫌いじゃないよ」




ポンポンと頭を撫でてくれる成宮くん。


この子、本当は優しいのかな?
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