きみのとなり


「とりあえず」



私の話を聞いていた梢が口を開いた。





「わからないんだから仕方ないよ」



そう言うと、私のおでこをピンッと弾いて笑う。




「わからないときは仕方ないんだから、ちゃんと伝えてみたら?鈴木に。“わからない”って」



「鈴木君に?」



「うん。わからないときはさ!わからないって伝えてみるのもありなんじゃない?」




私は弾かれたおでこをさすりながら、小学生がさって行った道を眺めた。




「大丈夫。きっと伝わるから。石川先輩のことだって、ただの先輩と後輩になるなんて私は無理だと思う。今までの歴史をなかったことになんて無理なんだよ…」




梢はそう静かに言うと、「行こう」と言ってまた私のおでこを弾いた。






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