きみのとなり
「未来らしくないこと言ったから、正直びっくりかも」
「へ?」
放課後、劇の準備をしながら梢がコソコソと言った。
「かわいいこと言うから、鈴木だって真っ赤になってたしぃー」
「もう!やめてよ!」
私はニヤニヤ笑う梢の肩をパシッと叩いた。
「しかも。未来は劇でまさかの主役だし。シンデレラ…ふふっ」
「やーめーてー」
そう。
まさかの主役に私は抜擢されてしまって……
今はキャストのセリフ合わせなんだけど…
私がシンデレラ役で、梢が魔女役。
そして…
「キャスティングしたの誰だよー!俺が継母の役なんてー!」
継母役が田中君で
「ククッ…啓太にぴったりだな…」
斗真君が王子様。
「優子ちゃんが委員長だから、絶対わざとだよ。私と斗真君をシンデレラと王子様役にしたの…」
「まぁまぁ!いいじゃないの!」
ニッと笑う梢の横で私は小さくため息をついた。