きみのとなり


ピンポーンーー



「はーい」



パジャマのまま、お隣りのインターフォンを押すと、おばさんが返事をして


玄関にくる足音が聞こえてきた。




「あら!未来ちゃん!」



ドアを開けると、おばさんが驚いたように口に手を当てた。



「…おばさんっ…拓ちゃん、拓ちゃんいますか…」



「え?拓海?拓海ならさっき買い忘れたもの買いに行ってもらって今いないのよー」



「…ハァ…あ…そう…ですか…」



「うんー。ごめんねー。それより未来ちゃん、風邪はもういいの?」



おばさんが心配そうに眉を八の字に下げた。




「未来!!」



そのとき、お母さんがうちの部屋のドアを開けて私を見つけるやいなや、ムッとして歩いてきた。




「夏海さん~ごめんなさいね~!この子ったら風邪引いてるのに。ほら、帰って寝なさい!」



夏海さんとは拓ちゃんのお母さんのこと。


お母さんはおばさんに謝ると、私を引きずるようにして部屋へと引っ張って行った。






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