きみのとなり
大丈夫。拓ちゃんはいない。
ふーと息を吐いて隣の家のインターフォンを押した。
ニコニコと笑顔を作る。
おばさんにパッと渡してサッと帰る!
ガチャッとドアが開いた。
「あ!これ!母から裕介と…拓ちゃんに…」
ギュッと目を瞑ってプレゼントを持った両手を突き出した。
……ん?
なかなか受け取ってもらえないので、私はそっと目を開けた。
「……あ…」
「……未来…?」
目の前にいたのはおばさんじゃなくて
「拓ちゃん…」
だった。
「っ…あ!あの!これ!お母さんからで!中身なにか分からないけどプレゼントだって!裕介と拓ちゃんに!…それだけだから!」
バーっと自分でも何を言っているのか分からないくらいに早口で喋った私は、サッというよりも早かったと思う。
それくらい早くその場から立ち去った。