きみのとなり


バタンッと大きな音をたててドアを閉めた。



「こら!いつも静かに閉めなさいって言ってるでしょ!」


お母さんのそんな声が聞こえたけど、それはまた無視をしてその場にへなへなと座り込んだ。



「びっくりした~…」



なんでいるの?


河野さんと会ってるのかと思ったのに。


「未来?なにやってるの?」


「お、お母さん!おばさんも裕介もいなかったみたいだよ!」


「えー?あー、さっきね?未来が出ていったときに夏海さんからちょうど電話がきて、なんでも、拓海君が熱出しちゃったんだって~。咳もおさまらなかったからまたぶり返しちゃったのね~。それで拓海君が食べやすい物を裕介君連れて買いに行ったみたいよ?」


「……そう…」


「でも今日は誰もいないのに大丈夫かしら?心配よね」


「……」


私は、頬に手を当てて眉を八の字にしているお母さんの横を何も言わずに通りすぎて部屋に行った。



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