きみのとなり
パスはさっきよりもその前よりも上手くできて、ちゃんと真っ直ぐに拓ちゃんの方へと蹴れた。
あとはシュート…
「未来ー!頑張れ!」
「未来ちゃん!」
裕介と真美ちゃんもベンチに座りながら、私を応援してくれる。
外せない。
これを入れなかったら、時間的にもう無理。
今日以外に練習はもうできない。
だから…入れなきゃ
「未来!」
拓ちゃんからまたボールが返ってきた。
『未来!軸足を考えて。大丈夫』ーー
行けっ!
私はギュッと目をつむり、ボールを蹴った。
バサッーー
「……」
恐る恐る目を開ける。
「…嘘……」
「未来!!ゴールだ!」
入っ…た…
「未来ちゃーん!やったね!」
「師匠にお礼を言えー!未来ー!」
裕介も真美ちゃんも飛び跳ねて喜んでくれている。
「やったな未来……って未来?」
「…うぅ…入ったぁ」
私は感動して、思わず泣いてしまった。
「…良かったな」
拓ちゃんはそんな私を微笑んで撫でてくれた。