きみのとなり
「拓ちゃんごめんね。こんな時間になっちゃって…」
私は夕日の光が射す中、コーンを持ってくれる拓ちゃんに謝った。
「え?いいよ別に。宿題終わらせてあるし。用事は特にないし」
「そう…」
「それに…俺から頼んだわけだし」
「……うん…」
私はサッカーボールをギュッと胸に抱きしめた。
「ほら、帰るぞ。裕介は真美ちゃん送ってけ」
「もちろん」
裕介は真美ちゃんと手を繋いで歩き出した。
「ほら、俺達も帰……」
私達も裕介達に続いて帰ろうとした時、拓ちゃんが急に黙って立ち止まった。
「…?…拓ちゃん?」
拓ちゃんはある一点を見つめて眉間にシワを寄せていた。
私は拓ちゃんの視線の先を辿った。
「…あ」
嘘…
「…彼女の私の誘いより、幼なじみの未来ちゃんの約束を優先させるんだ」
「…河野…これは…」
「っ…もう会わないでって言ったじゃない!!私は一番になりたいって…言ったじゃない!」
なぜか拓ちゃんを待っていた河野さんは、泣き叫んで拓ちゃんにしがみついていた。