雪の雫に濡れた夜

 ずるい



 そんな風にされたら、
 そんな風に言われたら、


 うなずく事しか出来ない。


「あー、君達、オレもいる事を忘れるな?」

慎が腕組みをして、にやりと笑う。

「そろそろ開店だ。斗哉、シュイのファンに睨まれたくなかったら、黙って、離れた所で大人しくしてろよ」

「了解、そうする」


私の手から離れる、斗哉。


『この街は、噂も、人も、次々と流れ移り行くもの』


 でも、斗哉、
 あなたは違うわよね?


 この手をすり抜けていかないで…



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