雪の雫に濡れた夜

「斗哉?」

 呼んで気付く、

 斗哉は、窓際のソファに座ったまま、眠っていた。

 煙草の煙が、舞い上がる。


「あぶないなぁ」

私は、斗哉の唇から煙草を取り上げ、

そのまま、斗哉の端整な顔に近づく。


軽く唇を重ねると、煙草の匂いがした。


 斗哉の匂い。

 近づけば、近づく程、
 知れば、知る程、


 愛しくて、


 悲しくなる。

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