【完】ポケット-幼なじみ-





言われた通り門で待っていると沢山の視線を感じた。











はる君はいろんな意味で有名人でこの学校ではる君を知らない人はいないと思う。















視線を辿ると、知らない女子から知ってる女子までいて私と目が合う度に睨まれ囁かれる。












私の学校は一応、中高一貫だから知らない人は少ない。









「朝、二人で自転車で登校してきてるんだって。どんな関係?」









そう言われながら女の子達は過ぎていく。












どんな………………関係?














「ただの幼なじみです。」











なんて私がハッキリ言えたら
今どれだけ楽だったんだろう。










でも、この自分の気持ちには決して気付いてはいけないから。











だから、私は聞かれたら幼なじみ、と答える。









青い空をみあげると白く小さな雲が一つ。












それは私の心をあらわしているかのように。









すると急に強い夏の生暖かい風が吹いた。
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