【完】ポケット-幼なじみ-
はる君の洗ったばっかの綺麗な
白いシャツからは洗剤の匂いと
柑橘系の甘酸っぱい
レモンみたいな匂いが
かすかにして心地よい。
ぴたっ、と急に自転車の動きが止まって目をあける。
目の前にはもう学校が見えていた。
「歩夢、降りて。自転車、すぐ置いてくるから門の前で待ってろ。」
そう言われ手を放しながら自転車から降りる。
「うん、ありがとっ。」
とはる君にお礼を言って歩き出す
後ろを少し振り返るとはる君は
知らない女の子達に手紙をもらっていた。
――――ちくん、
はる君はカッコイイからモテるのも当たり前。
でも、何故だかその度に胸が痛むんだ―…