【完】ポケット-幼なじみ-
それともー―…?
……………そんなわけないか、
歩夢は俺のことを幼なじみ、
としか見ていないはずだから。
――今のは、聞いて
いなかったことにしよう。
下行こうとして立ち上がろうと
すると後ろから抱き着かれた。
「…っ…行か…な…いで」
消え入りそうな声に振り向く。
――――――寝ぼけているの?
「…お…いて…かないで…」
抱き着かれている腕の力が
弱くなりゆっくりと歩夢を
はなしてベッドに再び横にさせた。
その時―――…
ポタッ、と目から涙が落ち、
シーツに丸い染みができた。
そんな切なそうな歩夢をみると
たまらず抱きしめたくなった。