【完】ポケット-幼なじみ-



毎朝、一緒に登校するのも




放課後、一緒に帰宅するのも





"幼なじみ"の特権。









はる君は私の自慢の幼なじみ。









きっと、幼なじみだからドキドキしちゃうんだ。








……うん、きっとそう。







なんて、心の中で馬鹿みたいに自分の気持ちに言い訳をすれば。





「……ゆ、……あゆ!」









小声で誰かに名前を呼ばれてキョロキョロすると、





パコーンっ、




上から頭を叩かれてびっくりして椅子から勢いよく立ち上がった。








「いっ…たあ…」







頭を抑えながら前を見ると数学の教科書を丸めながらこっちを見る先生。







どうやら三時間目らしい。










「蒼井、よそ見してて大丈夫かあ?」









その瞬間、教室内は笑い声でいっぱいになる。
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